社長の理想を見える化する管理会計

経営コンサルタントの視点から、様々なエピソードや事例を紹介。経営学を深堀りし、その根幹に迫ります。

【管理会計篇】売上が増えたのに、お金が消える会社 ~利益よりも先に見るべき「資金繰り」の真実~

売上が増えたのに、お金が消える会社

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※しばらくの間、「歴史に学ぶ篇」をお届けしておりましたが、

そろそろ本業に戻って、「管理会計」と「経営指針」の話題に集中して

お届けしていきたいと思います。

 

はじめに

「売上は伸びています。」

そう聞くと、多くの人は会社の業績が順調だと思います。

しかし現実には、売上が過去最高を更新しているにもかかわらず、

資金繰りに苦しみ、倒産してしまう会社は少なくありません。

経営者にとって本当に重要なのは、「いくら売れたか」ではなく、

「いくら現金が残ったか」です。

実際、中小企業の倒産理由を見ると、多くは赤字ではなく資金不足です。

利益が出ていても資金不足で倒産する『黒字倒産』は、

多くの経営者が知っておくべきリスクです。

 

売上が増えると、なぜお金が減るのか?

では、なぜ売上が増えるほどお金がなくなるのでしょうか。

その理由の一つは、売上の増加に伴って運転資金が増えるからです。

例えば、100万円だった売上が300万円になれば、仕入れも増えます。

在庫も増えます。売掛金も増えます。

つまり、利益が入ってくる前に、多くの現金が先に出ていくのです。

急成長企業が危険だと言われる理由の一つはここです。

 

利益と現金は別物

「利益は出ているのに、通帳の残高が減っていく。」

そんな現象は決して珍しいことではありません。

もう一つの原因は、「利益」と「現金」を混同していることです。

(驚くことに、売上を上げればなんとかなる、

と思い込んでいる会社も多く存在します。)

 

損益計算書(P/L)は利益を表しますが、

お金の流れを表しているわけではありません。

売上を計上した瞬間に利益は発生しますが、

その代金が実際に入金されるのは1か月後、2か月後というケースも多くあります。

一方で、仕入代金や人件費、家賃、税金などは先に支払わなければなりません。

つまり、帳簿上は黒字でも、現金が足りなくなることは十分に起こり得るのです。

 

設備投資や借入金返済も現金を減らす要因
~特に、元本返済はキャッシュフローの天敵

(知らず知らずに、現金を食いつぶす害虫!)

さらに、設備投資や借入金の返済も資金繰りを圧迫します。

設備を購入しても、その支出は損益計算書では一度に費用になりません。

しかし、現金は一気に減少します。

借入金も同様です。

元本返済は利益には影響しませんが、確実に現金は減っていきます。

だからこそ経営者は、利益だけではなくキャッシュフローを見る習慣を

持たなければなりません。

つまり、最後に会社を守るのは利益ではなく、通帳残高なのです。

 

毎月確認すべき、3つの数字

優れた経営者ほど、「利益管理」と「資金管理」を分けて考えています。

毎月確認すべきなのは、

売上は増えているか。
利益は残っているか。
・そして現金は増えているか。

この三つです。

どれか一つだけを見ても、会社の本当の姿は見えてきません。

管理会計の役割は、単に数字を集計することではありません。

未来のお金の流れを予測し、「いつ資金が不足するのか」

「どこで利益が現金に変わるのか」を見える化することにあります。

経営とは、「利益を出すゲーム」ではありません。

「会社を存続させるゲーム」です。

そのために最も重要な資源は、売上でも利益でもなく、現金です。

「黒字なのに苦しい会社」と「利益はそれほど多くないのに安定している会社」。

この違いは、資金繰りを理解しているかどうかにあります。

 

重要要素の補足

実はここで、経営者が最も注意すべき点に触れておきたいと思います。

税務会計は過去会計。管理会計は未来会計ということを以前のブログで書きました。

銀行は、過去会計である税務会計を重視します。

なので、経営者はその税務会計(試算表)をよく見せるために、

売上を多くし、利益を少しでも多く見せるために、棚卸高を調整し、

あたかも見栄えの良い試算表を作りあげてその場をしのぎます。

ここに落とし穴があるのです。

無理やり売上を上げるために、回収サイトを無視して売上だけ増やす。

棚を調整して粉飾する…、そして実態が分からなくなる…。

銀行は当分の間はこれで納得する(ごまかせる)かもしれません。

でも、キャッシュは嘘をつきません。

ここまでお読みいただいた皆さんなら、もうお気づきでしょう。

会社を守るのは、税務会計ではありません。

未来のお金を予測する「管理会計」です。

もちろん、管理会計を導入している企業はあります。
しかし、数字を経営判断にまで落とし込み、

本当に活用できている企業は決して多くありません。

「数字を作る経営」から、「数字で経営する会社」へ。

その違いが、5年後、10年後の企業の姿を大きく変えていきます。

 

まとめ

売上が増えたことに安心するのではなく、

その売上が本当に会社へ現金を運んできているのか。

その視点を持つことが、会社を長く成長させる第一歩なのです。

利益は会社を評価します。

しかし、会社を生かすのは「現金だけ」です。

経営者が本当に見るべき数字は、決算書の利益ではなく、

「未来のキャッシュフロー」なのです。

 

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