
「忙しいから仕方ない。」
「売上が増えれば何とかなる。」
「経理に任せてある。」
「今は我慢の時期だ。」
「うちは特殊だから。」
「景気が悪いから仕方ない。」
経営者であれば、一度くらいは口にしたことがある言葉ではないでしょうか。
もちろん、その場の状況を表現しているだけの場合もあります。
しかし、実はこの何気ない"口ぐせ"こそが、
会社の利益を奪っている原因になっていることがあります。
なぜなら、言葉は思考をつくり、思考は判断をつくり、
判断が会社の未来を決めるからです。
例えば、「売上が増えれば何とかなる。」という言葉。
一見すると前向きな考え方のようですが、
この言葉の裏には大切な視点が抜け落ちています。
それは、「利益率」「固定費」「資金繰り」という経営の本質です。
売上が増えても、利益率が低ければ利益は残りません。
人件費や固定費が増えれば、かえって経営は苦しくなることもあります。
さらに、売上だけを追いかけて資金繰りを無視すれば、
黒字であっても資金不足に陥る危険があります。
利益は売上で決まるのではありません。
利益構造で決まるのです。
また、「経理に任せてある。」という言葉も要注意です。
経理担当者の仕事は、会社のお金や数字を正しく記録することです。
しかし、その数字をどう読み、どう経営判断に生かすかは、
社長にしかできない仕事です。
数字を見ない社長に、利益は残りません。
そして、私が最も危険だと感じる口ぐせがあります。
「忙しいから分析する時間がない。」
経営者は確かに忙しいものです。
しかし、本当に忙しいからこそ、
数字を見る時間を確保しなければなりません。
飛行機のパイロットは、忙しいからといって計器を見ないでしょうか。
船長は、海図を見ずに航海するでしょうか。
もちろん、そんなことはありません。
会社経営も同じです。
数字を見ない経営とは、計器を見ない操縦と何ら変わりません。
利益が出続ける会社の経営者は、毎月必ず確認しています。
「利益はどこで生まれたのか。」
「利益はどこで消えたのか。」
そして、その数字を単なる結果として眺めるのではなく、
「次に何をすべきか」という行動へと変えています。
ここで重要になるのが管理会計です。
税務会計は、税金を正しく計算するための「過去会計」です。
一方、管理会計は、「これからどう経営するか」を考えるための「未来会計」です。
未来の利益を予測し、資金繰りを管理し、問題を早期に発見して改善する。
そのための道具こそが管理会計なのです。
残念ながら、多くの会社では決算書を「提出するための書類」としてしか見ていません。しかし、本来数字は、経営者が意思決定をするための羅針盤です。
利益が出ない会社と利益が出続ける会社の違いは、能力や運ではありません。
日々の考え方と判断の積み重ねです。
そして、その判断は、社長が普段どんな言葉を使っているかに大きく影響されます。
社長の口ぐせが変われば、思考が変わる。
思考が変われば、判断が変わる。
判断が変われば、会社は変わる。
会社を変える第一歩は、新しい設備でも、新しい営業手法でもありません。
まずは、自分自身が何気なく口にしている"危険な口ぐせ"を見直すことです。
未来を変える経営は、社長の一言から始まるのです。
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